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【人生で一番最初に読む、ギターと音楽の教科書】vol.40『ダイアトニックコードと終止形』

※この講座(vol.40)のPDFファイル版です。プリントアウトするなどして活用してください。

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http://www.shunonuma.com/report2/vol.40cadence.pdf

 

【vol.40】ダイアトニックコードと終止形

(【人生で一番最初に読むギターと音楽の教科書】
テキスト全編のダウンロードはこちらのページから可能です)

 

こんにちは、大沼です。

 

前回までで、「ダイアトニックコードの分類と機能」についての
基本的な知識を一通り学びました。

 

実際のコード進行を例に出したので、
「どのように楽曲が成り立っているのか?」が、
具体的にイメージ出来たのではないでしょうか。

 

今の所メジャーキーの事例しか出していませんが、
マイナーキーの場合でも、基本的には同じような考え方になります。
(※マイナーキーの解説の時に細かい部分を説明します)

 

で、前回のテキストで確認したように、一般的な楽曲であれば、
大半の部分が、そのキーのダイアトニックコードで構成されています。

 

特殊なコードアレンジがあったとしても、結局それは、
これまで学んでいたことを、発展させたものだったり、
応用させたものだったりします。

 

文字通り、今、学んでいるコード理論と言うものは、
楽曲の「土台」となる知識なわけですね。

 

と言うことで今回は、それらの知識を実用ベースで生かす為の
「コード進行の鉄板の形」を学んでいきましょう。

 

このテキストでは「耳コピに使える」とか「耳コピしてください」とか、
「耳コピ推し」をすることが結構ありますよね?

 

これは別に、「耳コピをすること“だけ”」を
勧めているわけではないのです。

 

じゃあ、なぜこんなにも勧めるのか?というと、

『“耳コピに使う能力”というのは、結局、“音楽をやる上で必須の能力”』

だからです。

 

それは「単に音楽を聴くこと」から「実際の演奏」までに使う、全ての作業が、
耳コピをする時に使っているスキルとほぼ一致する、ということです。

 

「耳コピの能力が上がると言うのは、
「音楽家としての実力が上がる」とほぼ同義です。

 

なぜなら、

「聴く(聴く事が出来る)」、「分析する」、「演奏する(表現、再現する)”」

の、3つの力を全て使うのですから。

 

我々が普段、楽器の練習やライブなどの本番で行っていることは、

自分と周りの音を聴いて
→周り(他者)が何をやっているのかを分析、把握して
→自分が何をやるのかを決めて
→楽器を演奏する

と言うことですよね?

 

これらのプロセスを、楽曲の中で、
自分も演奏をしながら、瞬時に行っているわけです。

 

その、「聴く」、「分析する」、「演奏する」のベースとなる能力全てを
ほぼ同時に鍛えるのに、耳コピはベストな方法なのです。

(※もちろん耳コピ“だけ”がベストなのではなく、
他にも効果的な練習はありますが)

 

で、その、耳コピがスムーズに出来るようになるための基礎知識として、
今学んでいるようなものがある、ということです。

 

さて、前置きが長くなりましたが、今回のテキストでは、
コード進行の鉄板の形、要するに、

『曲の中でよく出てくる形(コード進行)』

を覚えます。

 

これを知ってから、今まで弾いてきた曲を見返してみると、
「ああ、ここの事ね」と理解が進むことでしょう。

 

前回は、ダイアトニックコードの分類と機能、そして、
それらが進行の中でどう使われているのか?を
実際の曲を例に学びました。

 

そのダイアトニックコードの分類とは、以下のようなものでしたね。

※メジャーキー時

・トニックグループ
主要和音  Ⅰ (ⅠM7)
代理コード  Ⅲm (Ⅲm7)
Ⅵ (Ⅵm7)

・ドミナントグループ
主要和音  Ⅴ    (Ⅴ7)
代理コード Ⅶm(♭5) (Ⅶm7(♭5)) (←このコードは注意が必要)

・サブドミナントグループ
主要和音  Ⅳ (ⅣM7)
代理コード Ⅱm (Ⅱm7)

 

そしてそれらのコードグループの機能としては、

トニック→ホーム(家)のようなものなので、どのコードにも進める
(そして基本はトニックに帰ってくる)

ドミナント→主にトニックに進みたくなる(そして大体トニックに進む)

サブドミナント→基本的にはどこにでもいけるが、ドミナントに進む事も多い

と、この様になっていました。

 

さて、ダイアトニックのコードグループには、上でお話しした機能の他に、
鳴らした時の“感じ”として以下のようなものがありましたね。

・トニック→安定

・ドミナント→不安定

・サブドミナント→やや不安定

そしてコード進行は基本的に「安定に向かって進む」と。

 

実際の所、この「安定に向かう」とは「トニックに向かう」とほぼ同義です。
で、これらを踏まえた上で、コード進行の全体像をざっくりと説明してしまうと、

(多くの場合)トニックからスタートして、色々とコードを通過して、
またトニックに落ち着いて終わり

と言う事になります。

 

この「トニックに落ち着いて終わり」という部分が重要で、
コード進行には、トニックに終わる為のパターン(進行)があるのです。

 

そして「終わる為のパターン」にも、「よく出てくるもの(終わり方)」があり、
名前がついていたりします。

 

その名前とは、『終止形(しゅうしけい)』もしくは、
『ケーデンス(cadence)』、『カデンツ(kadenz )』と言うもの。

 

『終止形』は日本語、『ケーデンス』は英語、『カデンツ』はドイツ語ですね。

 

意味としては、「終止形」で見ると、「終わる、止まる、形」なので、音楽用語としては、
そのまま、「コード進行が一旦落ち着く形(パターン)」の事を指しています。

 

カデンツ、もしくはイタリア語でのカデンツァも、文脈によっては若干、定義が変わることも
ある様なのですが、実用レベルでは「ほぼ同じものを指している」と思って良いでしょう。

 

実際の会話の中では、ポピュラーミュージック系がルーツの人達は、「終止形 or ケーデンス」
クラシック系がルーツの人達は「カデンツ or 終止形」をよく使って(言って)いる感覚があります。
(※あくまで僕の実感として、ですが)

 

まあ結局、どの単語を使っていようが、大概の場合、言っていることは同じです。

 

と言う事で、今回の本題、その終止形(コード進行のパターン)を見ていきましょう。
(※このテキストでは3つの単語の内から“終止形”を使っていきます)

 

先にも言ったとおり、終止形とは、

『コード進行が始まって、トニックに安定するまでの、よく出てくる形(パターン)』

なわけです。

 

それはどんなパターンなのかと言うと、まずは
『ドミナント→トニックの流れ』が大本となります。

 

ダイアトニックコードのインターバルで言うならば、

Ⅴ→Ⅰ

の進行ですね。

 

このⅤ(ドミナント)→Ⅰ(トニック)の進行により、
聴覚上では「不安定→安定」と一度落ち着くことになるので、
それを「(コード進行が)終止する」と表現しているわけです。

 

これは前回題材にした“Photograph”を含め、
ほとんど全てと言ってもいい位の楽曲で見られる進行です。
(※西洋音楽のロジックがベースになっていれば)

 

それ位、よく出てくる、と言うよりは、
「あって当たり前」レベルのものと言えるでしょう。

 

この終止の感覚を体験するために、例としてよく挙げられるのは、

 

誰もが耳にしたことのあるであろう、あの、ピアノでの「起立→礼→着席」の感じです。

 

試しにC→G→Cとコードをゆっくり弾いてみてください。
きっと、あの“教室や体育館でお辞儀をした時の風景”が思い浮かぶはずです。

 

で、その次は、コードをC→Gと弾いて、Gで止めてみてください。
なんだか、次にCのコードをものすごく弾きたくなりませんか?

 

この「次にCを弾きたくなる感じ=トニックに安定したくなる感じ」が、
この時(key=C時)のドミナントであるGコードの機能です。

 

ドミナントコードが醸し出す不安定感を、
トニックコードに進む事によって安定させたくなるんですね。

 

これは人間の感覚として、どういうことが起こっているのかと言うと、
まず、事前に楽曲やコードを何も聴いていない状態から、Cコードを弾く(聴く)と、
そのCコードを『調性(key)の基準』としてあなたの感覚が捉えます。

 

『あ、なんだかこのCコードは、key=C時のⅠのコードっぽいな』と感じるわけですね。
この時、頭で楽典的な知覚をしていなくても、感覚(聴覚)は自動的にそう感じます。
(※細かいことを言えば、聴いている長さ(時間)や強弱などにも影響されますが)

 

ただ、まだその時点では「(実質的に)key=C時の1度のコードっぽいな~」と
感じているだけで、調性が決定してはいません。

 

重要なのは、次に聴く事になるコード。

 

この、次に聴く、“二つ目のコード”によって、調性(キー)が(大方)決定するのです。

 

例えば(トライアドの)Cコードだけだと、そのコードを含むkeyとしては、

key=Cに対して、CコードはⅠ(1度)
key=Fに対して、CコードはⅤ(5度)
key=Gに対して、CコードはⅣ(4度)

と3種類ありますね。

 

トライアドのCコードを4和音のCM7にした場合は、

key=C (CM7=ⅠM7)
key=G (CM7=ⅣM7)

と2種類のkeyが候補に挙がります。

 

この様に、Cコード1つを聴いた時点では、聴覚では「Ⅰ(ⅠM7)っぽいな」と感じていても、
音楽理論的にはkeyが候補から絞りきれていないことになりますね。

 

ですが、ここから二つ目のコードを聴くと、一気にkeyが固まってきます。
今、例にしているのはkey=CのⅠ→Ⅴにあたる、C→Gの進行なので、
次にGコードを鳴らす事になりますね。

 

そうすると、最初に「key=Cっぽい」と感じていた所に、
key=Cのダイアトニックコードに含まれる、Gコードが聴こえてくるので、
『お、これは(ほぼ)key=CのⅠ→Ⅴじゃん』と人は感じるわけです。

 

そしてこの進行の関係性は、トニック→ドミナントなので、
安定(Cコード)からスタートして、不安定(Gコード)と来て、そこで止めると、
トニック(Cコード)に戻って安定したくなるのですね。

 

これが『終止形』的な、「安定に向かおうとする進行(音の流れ)」を
聴いた時に人間が感じる事です。

 

 

さて、それっぽい解説をしましたが、ここで勘のいい人は、
「CとGの2つのコードだけだと、key=GのⅣとⅠにも一致するんじゃないの?」
と、考えている事でしょう。

 

これはその通りで、トライアドのCとGのみを見たら完全に一致します。

 

「じゃあそれはkey=G時の進行の様には聴こえないのか?」と言う事になりますね。

 

この辺り、先に、さらっと注釈でいれた、「音の長さ(音価)と強弱」が関係してくるので、
詳しく見ていきましょう。

 

まず、先に確認なのですが、先のC→G→Cの進行をkey=Cとして、4和音にした場合、
CM7→G7→CM7となり、これはもろにkey=Cと言う調性を感じます。

 

仮にC(トライアド)→G7(4和音)とした場合でも、
Ⅴ7(ドミナント7thとしての5度7th)は各キーに1種類なので、
聴覚としてはkey=Cであることを強く感じますね。

 

基本的には、同時に鳴らす音が増えるほど、keyの拘束力みたいなものは強くなります。
(※ダイアトニックスケールの構成音に準拠したダイアトニックコードであれば)

 

次に、トライアドのCとGのみを見た時、これらをkey=Cの観点から見たらⅠとⅤ、
key=Gの観点から見たらⅣとⅠになります。

 

これまでと同じ様に、C→G(→C)と弾く場合、全てのコードを大体同じ音符の長さ、
かつ、同じ強さで鳴らすと、ほぼkey=Cの様に聴こえます。

 

この時、起こっている事は、まず最初のCコードを鳴らした時、他に基準がないので、
そのCコードが調性の基準の様に感じ、次のGコードがドミナントの様に感じるわけですね。

 

ですが次は、C→Gとこれまでと同じように弾いたのち、そのGコードを
出来るだけ長ーく鳴らし続けてみましょう。

 

この時、最初のCが鳴った時点では、Cコードはkey=CのⅠの様に聴こえ、
「このCはkey=CのⅠ度(トニック)っぽい」と言った感覚が残ります。

 

で、その後のGコードでは、鳴らした直後はkey=CのⅤっぽく感じるのですが、
そのGを長くのばせば伸ばすほど、最初のCコードで感じたkey=Cの調性感が薄れてきて、
GコードがⅤ(ドミナント)ではなく、key=GのⅠ(トニック)の様に聴こえて来るのですね。

 

そうしてから、もう一度Cコードに戻ってみても、最初のCの様なトニック感が弱く、
CとGのどちらが基準なのかがはっきりしない感じになってきます。

 

ここまでの事をまとめると、CとGの2つのコードだけを使う場合、

C(key=CのⅠっぽく聴こえる)
→G(最初はkey=CのⅤ的に聴こえる)
→Gをのばす(段々key=Cの調性感が薄れてきて、key=G のⅠの様な気がしてくる)
→C(微妙にkey=CのⅠの様にも感じるが、トニック的な安定感が弱く感じる。
もしくは前のGコードがⅠの様に聴こえていたら key=GのⅣの様に感じる)

と、この様な感覚の変化が起こっている事になりますね。

 

今の例の様に、CとGの2つのコードのみだと少し変化に乏しいですが、
ここに例えばDコード(key=GのⅤ)などを加えると、
完全にGがトニック的に聴こえますね。

 

これは結構、大雑把な例ですが、こんな感じで、鳴っている音の構造、
時間的な長さ(音価)、音の強弱などに、人間の調性感は影響を受けています。

 

 

さて、少し話がずれましたが、先のⅤ-Ⅰに続き、残り3つ、
『終止形』の重要な進行を見ていきましょう。

 

まずは、前回も出てきた、

SD(サブドミナント)→D(ドミナント)→T(トニック)

の進行。

 

代表的なのが、各分類の主要和音を使った、

Ⅳ→Ⅴ→Ⅰ (ⅣM7→Ⅴ7→ⅠM7)

の進行です。

 

これは『やや不安定→不安定→安定』の鉄板の流れでしたね。

 

全て主要和音の進行なので、これを1つの基準として色々なパターンを考えていきます。

 

次によく聞くのが、

Ⅱ→Ⅴ→Ⅰ (Ⅱm7→Ⅴ7→ⅠM7)
(※ツー・ファイブまたはツー・ファイブ・ワン)

の進行。

 

これはⅡm(Ⅱm7)が、サブドミナント(Ⅳ、ⅣM7)の代理和音なので、結局の所、

SD(サブドミナント)→D(ドミナント)→T(トニック)

の進行と同じです。

 

細かい解説はここでは割愛しますが、コード進行として、
強い解決感(進行感)が出てくることから、楽曲でよく使われます。
(※詳しく知りたい場合は『強進行』で調べてみてください)

 

本当によく出てくるので、作曲、アドリブ論や、演奏時の対応のパターンなどで
取り上げられることが多く、言葉だけでも聞いたことがある人は多いはずです。

 

 

そして最後の3つ目が、

Ⅳ→Ⅰ

の進行です。

 

これは要するに、サブドミナント(やや不安定)→トニック(安定)の、
ドミナントを経過しない終止の形です。

 

不安定感の強いドミナントを通らないので、若干の緩さの残る進行の形、
と、言っていいでしょう。

 

サブドミナントコードは基本的には(ある程度)どこにでも進めるので、
ドミナントを通らずにトニックに行ってしまってもいい、
と、言うことですね。

 

さて、今回は合計4つの終止系を確認しました。

 

結局、これを知っていると何が良いのか?と言うと、テクニカルな面で言えば、
まずは、耳コピ、採譜などの聴き取る作業の時にkeyがすぐに判別できます。

 

要は、コードを聴き取っている時、“トニックに解決する流れ”が見えるのならば、
どのコードがトニックかがわかるので、keyの把握はすぐですからね。

 

要するに、

どのコードがどの分類にあたっていて、最終的にどのコードに落ち着こうとしているのか?

これが見えるようになってくる、と言う事です。

 

その次の段階として、コード(もしくは単音でも)を聴き取ることに慣れてくると、
聴いただけで、D→TやSD→D→Tの流れがわかるようになったりします。

 

そうなったら、トーナル・センターはどの音で、そこからどんなコードが構成されるのか?
が一発でわかるので、より曲を把握するスピードが増しますよね。

 

あとは広い視点で見れば、最終的には、「楽曲の予測、分析能力の向上」
といった話になってくるので、まあ、何をするにしても役に立つわけです。

 

これらの要素も、最初はパッと判別するのは難しいと思いますが、
弾きたい楽曲のダイアトニックコードをノートに書き出すなどして、
地道に慣れていってください。

 

では、今回は以上です。

 

今回の内容を踏まえた上で、今までコピーしてきた曲のコード進行が、
どの様になっているのかを確認してみると、また違った風景が見えてくるでしょう。

 

ありがとうございました。

大沼

 

 

 

※Top image by Billy Frank Alexander →facebook

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