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【人生で一番最初に読む、ギターと音楽の教科書】vol.36『マルーン 5 の楽曲でキーを分析してみる~その 2 ~』

※この講座(vol.36)のPDFファイル版です。プリントアウトするなどして活用してください。

↓↓

http://www.shunonuma.com/report2/vol.36maroon5copy2.pdf

 

【vol.36】マルーン5の楽曲でキーを分析してみる~その2~

(【人生で一番最初に読むギターと音楽の教科書】
テキスト全編のダウンロードはこちらのページから可能です)

 

こんにちは、大沼です。

 

さて、前回に引き続き、“Maroon 5”の『Payphone』を題材に
楽曲の分析の仕方を学んでいきましょう。

 

段々とテキストの内容が、
音楽の知識の「扱い方」になってきましたね。

 

最近のテキストに書いてあるようなことが理解できると、
本当の意味で「音楽を勉強、理解することの楽しさ」が
感じられるようになってくるでしょう。

 

普段、音楽を「聴いて楽しむ」というような、
リスナー的な状態だけで万事OK、と言う場合は、
この講座で学んでいるようなことを知っている必要はありません。

 

しかし、我々のような『楽器を演奏する(したい)』という
欲求がある人種は、もっと深く音楽に踏み込んでいかなければなりません。

 

今回のテキストの内容をこなしてもらえれば、
「これまでずっと学んできた事に、何一つ不要なものなどなかった」
と言うことがわかってもらえると思います。

 

最初は理解するのに時間がかかるかも知れませんが、
これが自力でできるようになってくると、
「音楽が理解できる」ことが「快感」となってきます。

 

そしてこうなってくると、音楽がやめられなくなってくるのですね。

 

その中毒症状にたどり着く為に、頑張って参りましょ う。

 

“Maroon 5” 『Payphone』 Youtube原曲リンク
http://youtu.be/5FlQSQuv_mg

(※万が一、リンク先が削除されている場合は、音源を購入するか、
曲名等で検索してください)

 

前回は、この曲の「キー」と「コード進行」、そしてその進行のインターバルを確認しましたね。

 

もう一度簡単に確認しておきましょうか。まずコード譜はこちらです。

vol36-1

次にこの進行を分析しやすくする為に、トライアドまで簡略化すると、

E→B→G♯m→F♯

という進行になります。

 

で、この曲はkey=Bなので、Bキーのダイアトニックコードと照らし合わせると、

Ⅰ、B               (BM7)
Ⅱ、C♯m           (C♯m7)
Ⅲ、D♯m           (D♯m7)
Ⅳ、E                (EM7)
Ⅴ、F♯                   (F♯7)
Ⅵ、G♯m               (G♯m7)
Ⅶ、A♯m(♭5)      (A♯m7(♭5))

と、このように対応していて、インターバル的に進行を見るならば、

Ⅳ→Ⅰ→Ⅵm→Ⅴ

といった進行になっていましたね。

 

さて、この講座を作るにあたり、僕はこの曲を耳コピしている訳ですが、
前回、「2つ目のコード(2小節目)を聴き取った時点でkeyの予測がついた」
と言いました。

 

今回はこの「なぜそこでkeyがわかるのか?」と言うことを事例に、
耳コピの基礎的な方法や、分析の仕方を解説して行きたいと思います。

 

まず、とある曲を耳コピしたい場合、その曲のキーを知る必要があるので、
普通は「コード進行を聴き取る」という作業を最初に行う事になります。
(※一部のフレーズだけ弾きたい、と言うような場合でなければ)

 

多分に洩れず、僕も曲をザッと聴いて全体像を確認した後、
コード進行を聴き取る事から始めました。

 

で、コードを聴き取る際、一番初めにやる事は、
「コードのルート音を聴き取る」と言うことです。

 

これはギターの音でも良いですし、もっとわかりやすいモノとして、
「ベースラインから探る」という方法もあります。

 

この『Payphone』という曲は、出だしから暫くは、
ベースらしいベース(楽器としての)が入っていなかったりします。
(※その時鳴っている「最低音」は聞こえますが)

 

とりあえず、ルート音を聴き取りやすい場所としては、動画で言うと、
0:10~0:18辺りの4小節と、0:27~からのシンセサイザーかなにかで、
揺れたピアノっぽい音でルート音が鳴らされている部分。

 

そして一番わかりやすいのが、最初のサビに入る0:53~以降、
と言った所でしょう。

 

この様に「まずは聴き取りやすい場所を見つけて、そこから聴き取る」
と言うのも1つのテクニックで、そういった部分を見つけたら、
まずはベース音(ルート音)から採る、と。

 

試しに、最初に載せた譜面に合わせて、1小節ずつ、
E→B→G♯→F♯とベース音(コードのルート音)を弾いてみると、
合っていることがわかると思います。

 

これでめでたく、聴き取った4小節間のコード進行が、

Eなんとか→Bなんとか→G♯なんとか→F♯なんとか

である事がわかりましたね。

 

そして次は、ベース音を聴き取った部分のコードが、
メジャーなのかマイナーなのか、を判別します。

 

これは慣れてくると、聴いた時点で「メジャー、マイナーどちらなのか?」が、
わかったりするのですが、わからない場合、最初は2種類のコードを曲にあわせて弾いてみて
どちらが合っているかを確認するのですね。

 

なので、

・最初のE音ルートの部分は、E(メジャー)なのか?Emなのか?

・次のBルートのコードはB(メジャー)なのか?Bmなのか?

・同じ様に、G♯ルートのコードは?、F♯ルートのコードは?

と、それぞれ1つずつ、コードをチェックしていきます。

 

ここで使うのが「1、keyとダイアトニックコードの関係性」と、以前覚えた、
「2、指板上のインターバルの位置」の2つの知識です。

 

※1、メジャーキーのダイアトニックコードとそれぞれのインターバル

Ⅰ             (ⅠM7)
Ⅱm         (Ⅱm7)
Ⅲm         (Ⅲm7)
Ⅳ           (ⅣM7)
Ⅴ                 (Ⅴ7)
Ⅵm           (Ⅵm7)
Ⅶm(♭5)   (Ⅶm7(♭5))

 

※2、指板上のインターバルの位置

vol36-2

上記の図2の指板上のインターバルは、Cメジャーキー時の、
Cメジャースケールのポジション図になっていますが、各音の位置関係はそのままに、
今コピーしている曲のキー(key=B)に合わせてずらします。

 

では、これらを踏まえた上で、先ほど聴き取った、

Eなんとか→Bなんとか→G♯なんとか→F♯なんとか

のコード進行の確認に戻りましょう。

 

まず、最初のEルートのコードなんですが、自分が知っている、
適当なE(メジャー)とEmのコードフォームを曲に合わせて弾いてみると、
E(メジャー)のコードである事がわかると思います。

 

最初の小節の、Eルートのコードがメジャーである場合、
ダイアトニックコードのインターバルで言うならば、一般的には、

「そのコードはⅠ(ⅠM7)かⅣ(ⅣM4)のどちらか」

と言う事になります。

Ⅰ             (ⅠM7)
Ⅱm         (Ⅱm7)
Ⅲm         (Ⅲm7)
Ⅳ           (ⅣM7)
Ⅴ                 (Ⅴ7)
Ⅵm           (Ⅵm7)
Ⅶm(♭5)   (Ⅶm7(♭5))

 

ここで『Ⅴ(Ⅴ7)は?』と思うかも知れませんが、いわゆる普通の歌モノの曲で、
Ⅴ(5度)のコードでスタートする曲はあまりありません。

(※この辺り、セカンダリー・ドミナントの事などを考えたりすると、色々と思う所もあるのですが、
紛らわしくなるので、現段階では、5度のコードのスタートはあまりない、と思っていてください)

(※※ちなみに、3コードブルースの出だしはドミナント7th(X7)ですが、
あれはⅠ7ですね)

 

で、ここからわかることは、

・この、最初のEのコードがⅠのコードならば、 この曲はEメジャーキーである

と言うことと、

・この、最初のEのコードがⅣのコードならば、この曲はBメジャーキーである

と言うことの2つです。

 

EがⅣ(4度)のコードなら、なぜkeyがBになるのか?についてですが、
この表と照らし合わせてみるとよくわかります。

 

このCメジャー(スケール)の表を、

vol36-2

Bメジャー(スケール)にずらして、E音とB音の関係を見てみると、

vol36-3

この様に、B=Ⅰ(1st)、E=Ⅳ(P4th)の位置関係になるからです。

 

でも、このE音ルートのコードが、E(メジャー)である事がわかった時点では、
この曲のkeyがEなのかBなのかはまだわかりません。

 

なので次のB音ルートのコードもEの時と同じように、メジャーかマイナーかを、
両者のコードを当ててみて判別します。

 

今は最初に譜面を載せているのですでにわかっていますが、
ここのコードはBメジャーでしたね。

vol36-1

 

ここまで来ても、先ほどと同じく、EメジャーとBメジャーのコードがわかっただけの時点では、
key=Eなのかkey=Bなのかは、まだ完全にはわかりません。

 

なぜなら、「key=EのⅠ→Ⅴの進行」と、「key=BのⅣ→Ⅰ」の進行の
両方の可能性がありますからね。

※key=Eの場合(Eメジャースケール)のE音とB音のインターバルの関係

vol36-7

先ほどのように、B音を1度とするならば、E音は4度になりますが、
E音を1度とするならば、B音は5度の音になります。

 

ではなぜ、Bコード(2小節目)を聴き取った時点でkeyがわかったのかと言うと、
ヴォーカルメロディーがBメジャースケールで出来ているから、なのですね。

 

試しに、出だしのサビのメロディーをギターで弾いてみると、こんな感じになります。

vol36-4

 

この、コードだけを見たら、keyがEなのかBなのかわからない時点でも、
メロディーがBメジャースケールで作られている事によって、
耳がBメジャーのキーを感じるんですね。

vol36-3

ちゃんとこのポジションで弾くことができます。

 

で、特に重要なのが、1小節目の1弦6フレットのA♯の音。

 

この音はBメジャースケールにはあるけれども、
Eメジャースケールには無いものです。

この音をメロディーが通っている事によって、聴いている人の調性(keyの感覚)が
Bメジャーになっているのです。

vol36-5

 

図、Bメジャースケール

vol36-6

図、Eメジャースケール

vol36-8
この様に、両スケールの構成音を比べて見ると、1音だけ(A音とA♯音が)違うことがわかりますね。

 

そして残りのG♯音ルートとF♯音ルートのコードを判別していくと、
G#はマイナーのコード(G♯m)、F♯はメジャーのコードである事がわかります。

 

G♯mは仮にkeyがEだとしたらⅢmにあたるコードなので、
Key=Bの時と同じようにG♯mになるのですが、
F♯はKey=EのときはⅡmのコードにあたり、F♯mになります。

 

※key=E時のダイアトニックコード

Ⅰ、E
Ⅱ、F♯m
Ⅲ、G♯m
Ⅳ、A
Ⅴ、B
Ⅵ、C♯m
Ⅶ、D♯m(♭5)

 

ですが今回はF♯メジャーのコードなので、key=B時のⅤのコード、と解釈できます。

※key=B時のダイアトニックコード

Ⅰ、B               (BM7)
Ⅱ、C♯m           (C♯m7)
Ⅲ、D♯m           (D♯m7)
Ⅳ、E                (EM7)
Ⅴ、F♯                   (F♯7)
Ⅵ、G♯m               (G♯m7)
Ⅶ、A♯m(♭5)      (A♯m7(♭5))

 

と、言うことで、この曲はkey=Bだとわかるのですね。

 

コード進行から、楽曲を耳コピして分析する時の基本的な作業手順としては、

1、コードを聴き取る適当な範囲を決める(聴き取りやすい箇所を選ぶのもアリ)

2、どの楽器でも良いので、その範囲のベース音(コードのルート音)を聴き取る
(※コードを聴いただけでわかるなら、いきなり聴き取ってもOK)

3、それぞれのルート音のコードがメジャーかマイナーかを判別する

4、いくつかコードが判別できると、ダイアトニックコードの構成のルールによって
keyとそのkeyに対応するスケールが導き出せる

5、keyが判別できたら、残りのパートを順次聴き取っていく

6、そのコード進行がkeyに対してインターバル的にどうなっているのか?
コードとフレーズの関係性はどうなっているのか?を分析する。

と、こうなりますね。

 

もちろん、楽曲の構造とその人の知識によっては、ギターのリフや何かしらのフレーズを
ちょっと聴き取るだけでkeyがわかったりもしますし、

今回の曲でもやったように、メロディーを聴き取って、そこからスケールを割り出して
keyの判別をする事も出来たりします。

 

実際の所、全ての知識を複合的に使う事になるので、
耳コピの方法にどれが正解と言うものはありません。

 

強いて言うならば、

『常に(使う必要のある知識と感覚を)全部使う』

が、もっとも正しい表現だと言えるのではないでしょうか。

 

こういったコピーと分析を繰り返していくと、
曲を聴き取るスピードが段々と速くなってきます。

 

その先に待っているのが「シンプルな曲なら30分以内にコピーできる」とか、
そういう世界なのですね。

 

それでは、今回は以上になります。

 

なんだかんだ言っていたら、テキストが結構なボリュームになったので、
1つ1つゆっくりと確認しながらやってみてください。

 

ありがとうございました。

大沼

 

 

 

※Top image by Billy Frank Alexander →facebook

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