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【ギタリストの為のモード奏法】vol.03『コーダルとモーダルを感じてみる ~その2~』

※この講座はメールマガジン読者向けに連載していたもので、
全24回、PDFファイル135Pのボリュームになっています。

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vol.03 コーダルとモーダルを感じてみる ~その2~

 

 

では、vol.02に引き続き、コーダルとモーダルの違いを見ていきましょう。

 

前回は、『コーダルな状態』の条件をあぶり出したところまででしたね。

 

結局、大雑把に言ってしまえば、

『常識的なテンポで複数のコードが進行すると、そのコード群の構成音で
調性が形成されるので、それらの音を主としてメロディー等に使う事になる。
(※それ以外の音は使いにくくなる)』

と言った感じです。

 

この、

「和音側に、旋律(メロディー)で使える音を制限する様なパワーがある」
と言う状態を『コーダル(和音的な)』と表現している

わけです。

 

前回の譜例1で見るとこうなりますね。

3-1

 

で、今回は『モーダル(旋法的)』の話なのですが、上で挙げた様な状態を「コーダル」とするのであれば、要は、その逆の状態にしたら、「モーダル」な状態に寄って行く事になりますよね。

 

この辺り、人間の音楽に対する聴覚の傾向も関係してくるので、順を追って説明していきましょう。

 

 

■モーダルな状態を確認してみる

 

ではまず、前回も使った、Cキーのこの譜例1がありますが、

3-2

この進行を、「常識的なテンポで進行させると、Cキーの調整が形成される」のですから、逆に「常識的なテンポで弾かない」事にしてみましょう。

 

具体的にどうするのかと言うと、この進行を弾くとき、一つコードを弾いたら、その音を最低でも20秒くらい伸ばしてから次のコードに進む、と言う方法を取ります。

 

実際は、サステインが20秒も保てないと思うので、最初にジャーンとやって、音が消えてきたら、また軽く鳴らして下さいね。
(※この時あまり強く鳴らしすぎない様にしましょう)

 

一応、20秒と書きましたが、この時間は長ければ長いほど良いです。

1分近く伸ばしても構いません。

 

で、それをやるとどうなるのか?ですが、上の進行の場合、まずCM7を弾くことになりますが、これを鳴らした時点では、他に基準もないので、トニックコード(ⅠM7)の様な気がしながらも、調性はハッキリしない感じを受けます。

 

ここで、この「調性がハッキリしない」と言う状態を強く感じたい人は、CM7だけひたすらジャンジャン(長く)鳴らしてみると良いですね。

 

最初、鳴らした直後は、ある程度の安定感を感じますが、長くやればやるほど、安定してるんだか、してないんだかわからない、フワフワした気分になって来るはずです。

 

そして次は、Am7を弾くことになりますが、CM7をひたすら長くのばして調性感が希薄になった、と言っても、Am7に切り替えた直後は、CM7とAm7の二つの和音が醸し出す、音楽的な『まとまり感(≒調性)』を感じるでしょう。

 

で、再びAm7の音を伸ばしていくわけですが、コードが変わった直後からしばらくは、今言った「まとまり感」が自分の感覚に残っているけども、その後、音を伸ばせば伸ばすほど、段々と、その「まとまり感」が薄くなっていくはずです。

3-3

 

ここまでの作業で湧き起こる、自分の感覚の変化を整理してみましょうか。

 

まず、最初のCM7を鳴らした時点では、他に基準がないので、それなりにトニックコード(ⅠM7)っぽく感じるわけですが、実際に鳴っている音はCEGBの4音なので、音が少なくて、まだ明確にはトニックと判断できない(※調性的な意味で)わけですね。

 

そしてそれを長く伸ばしていくと、次第に、「トニックコードっぽい」と言う感覚すら薄れていきます。

 

次に、Am7に進行したとき、Am7に切り替えた直後は、前のコードであるCM7の感覚が残っているので、「CM7の構成音CEGB」+「Am7の構成音ACEG」的な、音のまとまりが形成されます。

 

基本的に、出てくる音の種類が、ダイアトニックスケールの構成音数である7音に近いほど、調性(キー)がハッキリしていく事になるので、CM7単体よりも、CM7+Am7の状態の方が、何かしらのキーの響きに近くなっていくわけです。

 

この場合は、「CM7の構成音CEGB」+「Am7の構成音ACEG」なので、CEGABの5音が登場して、Cキーの構成音に近づいていることになります。
(※出てくる音だけ見ればGキーにも結構近いのですが)

 

そしてここからAm7を伸ばしていくと、時間が経つにつれて、前に残っていたCM7の感覚が薄れていくので、CM7+Am7の状態からAm7単体の状態に変わっていき、先ほど少し顔を出した調性感も希薄になっていく、と、こう言う事です。

 

この後、引き続き、Dm7とG7でも同じ事をやるのですが、ここまで解説してきた事と同じ状況になり、同じ感覚の変化が起こります。

 

前回の、コーダルの解説は、『常識的なテンポでコードを進行させる(=比較的短時間でコードを進行させる)と、調性感が強まる』と言う話でしたね。

 

ですが今回は逆に、『常識的なテンポ(時間)でコードを進行させずに、調性感を弱めていく』という作業をしています。

 

具体的には、一つのコードの音を長く伸ばして行くと、出てくるコード同士の連結感が弱まるので、『一定時間内に聴く、音の集合体の音数が減る=調性感が薄れる』と言う状態です。

 

これは要するに、和音のパワー(影響力)が弱くなっているわけですから、コーダルの『和音に主体が寄っている状態』から離れていることになりますよね。

 

単純な話、譜例の進行を、前回の様に普通に弾くパターンと、今回の様にひたすら音を長く伸ばすパターンを弾き比べてみれば状態(響き、雰囲気)が全然違う事がわかります。

 

この、音(コード)を長ーく伸ばした時、調性感が薄くなっているのが、モード(モーダル)の土台となる状態です。

 

そして最終的に、「調性感が薄い=和音の強制力が弱い」状態(土台)の上で、どのモード(モード・スケール)を使うのか?が選択できる状態(or構造)が、モーダルなプレイ(or楽曲)と、こういう理屈です。

 

と、言う事で、モード(モーダル)のベースとなる理論にもたどり着いたので、定義の中にもう一つ残っている『旋律に主体を寄せる』と言う部分を見て、今回は終わりにしましょう。

 

 

■旋律に主体を寄せる≒モード・スケールの選択肢が我々にある

 

さて、ここまで確認に使ってきた譜例1は、コーダルとの対比をさせる為に、コード一つに対して一小節ずつの区切りをつけていました。

 

ですが今回は、モーダルの基本である、調性感の薄い状態を確かめる為に、一つ一つのコードを長時間鳴らし続けましたね。

 

これは結局、例えばCM7単体を見た場合、以下の様な状態になっているのと同じことですよね?

譜例2

3-4

※イメージなので小節数は適当です。

 

上の譜例の様に、CM7だけがバックに存在している場合、それは要するにC、E、G、Bの4音だけが、ある種の縛り(コード側が作り出している強制力)として存在している事になります。

 

じゃあ、この上でアドリブソロを弾くなり、作曲などでメロディ-を付けるなりする時、どういうスケール(モード・スケール)を選択するのか?と言う話です。

 

いわゆる、ポピュラーミュージックは、西洋音楽のロジックで作られているモノがほとんどなので、基本的には、全7音構成のダイアトニックスケールが、全体の基準になっているわけです。

 

上の譜例2の様な、一定の範囲にCM7と言うコード一つしか指定がない場合、その範囲ではC、E、G、Bの4音のみが指定されていて、残りの3音にはなんの指定もありませんよね。

 

通常、楽曲を構成するダイアトニックコードは、ルート音からの3度積み(1音置き)が基本となっているので、CM7の場合C、E、G、Bを含む何かしらのスケールが元になっている事になります。

 

で、このCM7の元になっている「何かしらのスケール」が、本来、全7音なのだけれども、出てくるコードがCM7だけだと、結局C、E、G、Bの4音しか出てこないので、何のスケールなのかがハッキリしていない、と。

 

この状態は、要するに、トニックから音を並べると、

C、『X』、E、『X』、G、『X』、B

の、『X』の3音が未決定であり、何かしらの指定や制限がないのであれば、我々(メロディーを弾く、もしくは作る側)が音を選んでも良い、と言う事になりますよね。

 

この前提において、『X』に入る音を選んでも良い、と言うならば、例えば、

・Cメジャー(アイオニアン)スケール  →C、『D』、E、『F』、G、『A』、B

・Cリディアンスケール       →C、『D』、E、『F♯』、G、『A』、B

・Cリディアン♯9スケール          →C、『D♯』、E、『F♯』、G、『A』、B

みたいに、旋律を演奏、構築するためのモード・スケールを選べる事になります。

 

ここまでの話をまとめると、

ある時間内に鳴る、和音の数(種類)が減る

和音の数が減るので、ある時間内に鳴る、音の総数(種類)が減る

音の総数が減るので、ある調性の基準スケールの7音から離れる

和音の影響力(その範囲で使うべきスケールに対する拘束力)が弱くなる

和音側から主体性が離れていている状態になる

相対的に旋律側の自由度が上がる

旋律(メロディー)を演奏、構築する為のスケール(モード・スケール)の選択肢が増える

モード・スケールを選択できる、と言う事は、旋律側に主体性が寄っている、と言える

となり、これが『モーダルな(旋法的=旋律側に主体、優位性が寄っている)状態』と、こう言う話です。

 

さて、ここまで3回に渡って、モード奏法の基本概念を解説してきましたが、どうでしょうか?

 

普段、多く耳にしているであろう、長調、短調の調性音楽との違いが、少しでも感じられたなら嬉しく思います。

 

大元の説明は今回で終わりですが、今後は、代表的なモードスケールを使って、実際のプレイを見ていきますので。

 

モードは、調性音楽よりも取っつきにくいかもしれませんが、ここまでが分かると、逆に調性音楽側の理解も深まっているはずです。

 

当然、一発で理解する必要はないので、疑問が出てくるたびに何度も繰り返し読んで下さいね。

 

それでは、次回に続きます。

 

ありがとうございました。

大沼

 

 

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